弱視児童に拡大文字教科書を
--拡大ボランティア募集--

 弱視児童用の教科書を作成している山梨県拡大写本赤十字奉仕団(佐野尚子委員長)が、活動の充実を目指して、拡大写本のボランティアを募集している。
 弱視児童用に文字を拡大した教科書を出版しているのは一社だけ。現在、県内には五人の弱視児童がいる。通学する学校が拡大文字以外の教科書を使っている場合は、同団体に制作を依頼して、弱視児童が読みやすい教科書を手に入れる。義務教育では教科書が児童・生徒に無償提供されるのに比べ、弱視児童の学習環境は恵まれていない。
 同団体は2003年9月、山梨・後屋敷小と上野原・島田小、富士河口湖・船津小の3校に弱視学級が設置されたのに合わせて結成された。以後、弱視児童の学習環境を整えるため、主に拡大文字の教科書を作成している。
 ボランティアらは毎週月曜日、甲府・山梨赤十字会館に集まり活動する。黒字の紙に白色の文字を書いたり、黒字の紙に白い部分を抜き黒色の文字を配置したりする。パソコンや手書きで、文字を大きく太く書き換え、文章を完成される。表紙はカラーコピーで仕上げ、各ページをのり付けして製本する。まぶしさなどを考え、弱視児童それぞれの見え方に合わせて作る。
 制作している教科書は国語、算数、理科、社会、音楽の5教科。1つの教科書(上・下編)を作成するのに十ヶ月ちかくかかる。
 同団体は結成時にメンバー36人で、今は約60人に増えたが、時間と労力のかかる作業に追いつかない。教科書以外の本も製作したいと考えているが、手が回らないのが実情だ。同団体副委員長の湊喜美江さんは「依頼されても、人手が足りなくて対応できない事もよくある」と訴える。
 ボランティア希望者は、「拡大写本ボランティア養成入門講座」を受講する必要がある。今年の講座は11月7、14、21、28日の午前と午後も全8回。受講すると、教科書に使う手書きの文字を基本に、拡大写本の製作技術が学べる。
講座参加希望などの問い合わせは日本赤十字山梨県支部、 電話055(251)6711。